COLUMN
進むOMO。進化を遂げるライブ×オンラインイベント
米国では、展示会やトレードショーが再開し始めており、コロナパンデミック制限緩和後のイベント等の傾向がよく見てとれます。
今回は、米国在住の広告ディレクターSonoda氏にライブイベントの変化の様子について現地レポートをしてもらいます。
1.米国では展示会・トレードショーが再開
2020年3月のパンデミック後、最も大きな打撃を受けた業界の1つはリアルイベント(展示会やトレードショー)でした。
あらゆる大規模イベントが、コロナウイルス感染リスクから軒並み中止に追いやられました。
そんな状況が一年続く中、各イベントの主催者は2020年をオンラインイベントでなんとか乗り切ったという状況でした。
・ライブイベントとの融合は進化を遂げる
しかし、イベント業界にとって大きな打撃を受けた2020年はネガティブな要素だけだったとは言い切れません。
イベンターたちはオンラインによるイベントのノウハウを蓄積しながら、イベントの質を向上させ、今ではオンラインとリアルイベントのハイブリッド理念が確立されています。
そのため、パンデミックが後退し、人々がイベント会場に集まることが問題なくなったとしても、
オンラインイベントによる最新製品やサービス展示、ディスカッション、デモンストレーションは広告戦略において重要な部分であり続けると予想されています。
2.どこからでも参加できる利便性
パンデミック下でオンラインイベントのノウハウを得たイベント主催者は、そのスキルを生かし、2021年にはハイブリッドアプローチを採用する方向性です。
クラウドベースのデジタルイベントプラットフォーム“ON24”では、主催者は「自身、スポンサー、観客の安全性に基づいてスケールアップまたはスケールダウン」することができます。
・ハイブリッドであることの利点
ハイブリッドイベントには物理的戦術とデジタル戦術の両方が含まれ、
イベントに直接参加できる「ライブ参加者」と、遠方からオンラインで参加する「オンライン参加者」用のデジタルコンポーネントが用意されています。
ハイブリッドイベントのデジタルコンポーネントには、
Twitterチャット、ライブストリームセッション、ターゲットを絞ったランディングページ、仮想ネットワーキングエクスペリエンス、その他のインタラクティブな要素が含まれます。
ハイブリッドイベントの参加費用帯もオンラインのみを低価格に設定したり、イベント終了後もオンデマンドでネットに残すことができるため、イベントのリーチを広げることも可能です。
2020年以前の世界においても、物理的にリアルイベントには参加できなかった人々はたくさん存在します。
しかし、今年から普及しつつあるハイブリッドイベントであれば、距離的条件、時間の制約、参加コストによってこれまでのイベントに参加できなかった新たな層を取り込むことができるため、
これまでのイベント業界の常識が一新されたと言っても過言ではありません。
3.コロナ後もオンラインは残り続ける
アメリカでは4月から、人々の生活が戻りつつあります。
しかし、従来通り各種展示会イベントなどへの参加が再開されたとしても、もうオンラインイベントがなくなることはないでしょう。
パンデミック直後は、「オンラインではイベント効果が見込めない」「リアルイベントでないと参加しない」などの声も上がり軽視されていたオンラインイベントですが、
この一年で、より幅広いオーディエンスにリーチでき、見込み客と1対1でやり取りする機会が増え、
高度なコミュニケーションツールが利用できるのは、実はオンラインイベントだったということ明確になったからです。
・AIを活用したネットワーキング
しかもオンラインなら、イベント開催中という限定された時間を超えて、顧客との関係を続けることができます。
また、参加者の多くがイベント参加に求める人脈やネットワーキング活動においても、オンラインイベントは非常に優れていると理解され始めました。
ProMatDX 2021ロジスティクスショーでは、参加登録者がリアルイベントの日付に先立って、顧客同士や数多のビジネスパートナーとのオンライン面談を設定できる仕組みを導入しました。
また同時に、AIを活用して、スポンサーと参加者が特定の興味に基づいて自動マッチングするマッチメイキングポータルを特色にしました。
次回以降の開催で、AI対応のネットワーキングツールを使用することも発表しています。
4.制約から解放し時間の生かし方を変える
・出展者と参加者、双方へのメリット
オンラインイベントでは、出展者側も多くのコンテンツを短い時間に詰めることができ、参加者においても忙しいスケジュールの合間を縫って会場に足を運ぶ必要がなくなります。
3日間の展示会参加より、オンラインイベントに数時間を費やすことのほうが簡単なのは明白です。
ハイブリッドであろうと完全なオンラインであろうと、トレードショーが見出した新たなこの形は、
これまでの展示会に存在していた制約の障壁を打ち破り、新しい可能性を見せてくれています。
・ミレニアル世代とZ世代へもアピールが可能に
コンテンツが永遠に残り、出展者と参加者のタッチポイント寿命が伸びたことで、
デジタルインタラクションに慣れたミレニアル世代とZ世代にもアピールすることを可能にし、これまで以上に幅広い年代も取り込めるようになりました。
今後もハイブリッドイベントそのものの仕様は変化していくと思いますが、イベントはオンラインでも現実でも参加できるものという概念が崩壊することはないでしょう。
レポート:広告ディレクター Sonoda
日本よりも早くワクチン浸透後の活動が再開され始めている米国の動きを見ておくことで、その後に起こる傾向をつかみ、
今、この期間中に何を心がけ、何を学び準備しておくべきか、よりクリアになるのではないかと思っています。