COLUMN
米国企業における働き方と従業員満足
今回はアメリカ国内の従業員の企業満足度に関して、Sonoda氏にレポートしてもらいました。
主に日本の働き方や社会システムと比較しながら、企業のサポート制度やベースとなっている働き方を中心にまとめています。
1.米国企業の福利厚生
社会システムの前提として、国民皆保険制度がないアメリカでは、死亡・医療・所得補償保険を企業側が用意し、従業員は負担なし(または一部負担)で加入することができます。
この保険有無がアメリカ国民が企業に求める最も大きな福利厚生と言っても過言ではありません。
もちろん、中小企業などでは保険を用意していないところもありますが、そういったところでは満足いく人材が集まりにくいのも事実です。
アメリカは医療が高額なため、医療保険の有無は、就職先の選択において大きなウェイトを占めています。
・ストックオプション制度
保険以外に一般的な福利厚生としては、自社株を社員が購入できるストックオプションをつけているケースです。
アメリカでは資産は貯金するものではなく運用するものというコモンセンスが存在します。
個人による資産運用が盛んなため、自社株を購入できるオプションは給料以外による資産収入を得ている社会人にとって魅力的なオプションです。
・休暇制度
続いて、福利厚生の大きなウェイトを占める休暇制度についてです。
よく「海外は労働時間が少なくて、日本は多い」と誤解されがちですが、実はアメリカの祝日は年間10日ほどしかありません。
日本はほぼ毎月、年間合計で15日ほどあるので、実は日本の方が祝日は多いです。
アメリカでは祝日の他に有給休暇、病欠が別々に取得できます。
どれくらいの日数が割り当てられているかは企業によりますが、1年目の平均は、それぞれ10日くらいです。
そのため、合計20日間は自由に休暇を取れる仕組みが整っていることが一般的で、この日数も従業員の満足度を保つための重要な要素になっています。
・私的年金 401K
また、アメリカにはソーシャルセキュリティという公的年金がありますが、それ以外にも私的年金(もっとも一般的なのは401K)に加入している人も多いです。
401Kは基本的には個人による積み立てのため、企業がサポートする義務はありません。しかし、401Kをサポートしてくれる企業は福利厚生が優れていると捉えられています。
自分の掛け金に応じて企業も援助してくれるか、援助額は掛け金の何%か、などによって就職・転職先を選ぶ人も少なくありません。
2.企業のユニークなサポート制度
スタートアップ企業や若い企業などは、その他にもユニークな福利厚生を用意しているところが多数あります。
Googleは社食が無料だったり、社内完備のジムやスポーツ施設が無料で使えたりするほか、従業員が亡くなってしまった場合、配偶者には給料の半額が10年間支払われるサポートなども用意されています。
・アウトドアメーカー Patagonia
アウトドアメーカーのPatagoniaやO’Neilは、社員にもアクティブであることを推奨しており、業務時間中にサーフィンなどのアクティビティに行くことも推奨しています。
そのため、アウトドアが好きな人材が自然と集まるようになり、企業にも還元されるという好循環が生まれています。
・IT企業 Evernote
またIT企業のEvernoteでは、月に2回ほどハウスクリーニングを会社負担で依頼することができるため、社員の生活負担を減らし、休日は休日としてしっかり休んだりストレスを解消できる時間を設ける仕組みを提供しています。
3.従業員満足と働き方
日本と比較してアメリカの従業員満足度が高い要因としては、働き方の違いがあると考えられます。
アメリカの働き方は分業制が主流です。
そのため、社員それぞれのやるべきことが明確化されており、就活時のジョブディスクリプションにもはっきりと明記されています。
逆に言えば、自分の役割以外の仕事をする必要がないため、一人ひとりが責任を負う範囲は、日本と比べても狭いと言えるでしょう(その分、責任の重さは大きくなります)。
それぞれのスキルに特化したスペシャリスト達が横並びで仕事をしていくイメージです。
その統括としてプロジェクトマネジャーが置かれている構図が一般的です。
自分の得意分野のみに集中できるという点も、従業員満足度を高めている要因の一つだと言えるでしょう。
レポート:広告ディレクター Sonoda
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