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「フォートナイト」「マインクラフト」空間を使ったオンラインイベントの可能性

コロナ渦により、リアルイベントが軒並み中止となっている中、ユーザー数が3億5000万人を超えるオンラインゲーム「フォートナイト」内において、オンライン音楽イベントが次々に開催されています。

その先駆けのひとつになったのが、人気DJの DJ Diploです。

■THE VERGE DJ Diploイベント記事
Fortnite hosted a Diplo concert in its new party mode

また、人気ラッパー Travis Scott のライブイベントには、1230万人の参加者が集まり、これは過去のオンラインイベントで最多の参加者を記録しました。

1.オンラインゲーム上でのイベントの可能性

これまでのオンラインイベントの利点としては、「無料」「地理的問題がない」「自由に出入りできる」などの点が挙げられますが、

一方で「ただ映像を見ているだけのような実感しかない」というところがマイナスポイントとなっていました。

・これまでのオンラインイベントとの違い

ただ、ゲーム内では実際にユーザーが思いのままに移動し、好きな位置でアーティストを見ることができたり、逆にアーティスト側もゲームユーザーがどのような動きをしているのかが見えるので、

「みんなでジャンプしよう!」「右!左!」といったように、コールアンドレスポンスが実現できたことで、ゲーム内イベントはバズを起こすことにつながりました。

・益々増えていくオンラインゲームプラットフォームの機会

日本人アーティストで言えば、米津玄師さんが同じくフォートナイトで音楽イベントを実施しています。

先日、同じく日本人歌手の星野源さんが開催したZAIKOでの生配信ライブでアクセス過多のためサーバーがダウンするという事例が発生しました。

この経緯からも、日頃、世界中からの同時アクセス、しかもユーザー操作負荷にも耐えうるオンラインゲームサーバーは、

今後大規模なオンラインイベントのプラットフォームとして活用される機会もより多くなると予想されます。

2.Minecraftを活用したB2C音楽イベント

フォートナイトと双璧をなす人気オンラインゲーム「マインクラフト」でも音楽系のコンサートイベントが開催されています。

日系アメリカ人アーティストであるスティーブアオキも参加したオンラインイベント「RAVE FAMILY BLOCK FEST」では、

現実社会では規模的にほぼ実現不可能な950組のアーティスト、合計65のステージによる音楽パフォーマンスを$10という破格の値段で開催すると発表しました。

本イベントとは関係ない部分のゲームアップデートにより、残念ながら延期(本来であれば7月9-13日に開催)となってしまっている現状ですが、

オンラインでしか実現できないこの大規模イベントはチケット販売からすぐに応募が殺到し、アメリカの音楽イベント業界でも話題となりました。

振替開催日は未定ですが、開催日が決定すれば再び注目を集めること必須です。

■THE HOLLYWOOD REPORTER掲載 マインクラフトイベント記事
Electric Blockaloo, the 'Minecraft' Virtual Music Festival, Unveils Full Lineup

■EDM.COM掲載 マインクラフトイベント記事
MINECRAFT FESTIVAL RAVE FAMILY BLOCK FEST POSTPONED INDEFINITELY

3.リアルイベントの代替策ではないオンラインイベント

フォートナイト、マインクラフトのB2Cイベントを見渡す限り、オンラインならではの特徴(観客参加型、リアル実現不可能な規模など)を最大限活かすことで、

リアルイベントとの差別化を図り、オンラインがリアルの代替策ではないという位置づけで実施されている印象です。

このあたりも、アメリカの風土(何かの代わりではなく、新しい価値観を生み出す意識と、それをすぐに受け入れる消費者意識)が大きく助けとなって発展していると感じます。

リテイル、ビジネス関わらず、多くのアメリカ企業のブランディング能力が高い理由も垣間見える要素であり、興味深い傾向です。

4.オンライン会議室Remoの本格的な普及

前回の【US草の根レポート】でオンラインにおける展示会やイベントのあり方について記載しましたので、その後の進捗についても少し触れておきたいと思います。

アメリカでは「Remo(https://remo.co/)」というオンライン会議プラットフォームが活用され始めるようになりました。

これまでの一方向配信でのオンラインイベントと異なり、Remoでは参加者が自由に席を移動したり、

それぞれの展示会参加企業の部屋に自由に出入りできる為、プラットフォーム上の操作自由度が高くなっている点が特徴です。

Remo自体は以前からローンチされていましたが、本格的な活用事例が上がってきたのがここ数週間の間でしたので、今後より拡大していくものと思われます。


※Remoそのものの解説は公式ウェブサイトにてご確認ください。英語サイトほどの充実度はありませんが、日本語ページもあります。

■Remoガイドサイト
https://remo.co/guided-tours-jp/


・Remoを活用した取り組みと特徴

日本でも先日、小田急が実施したRemoイベントが開催されており、今後このような取り組みが増えていくことが予想されます。
https://kawasaki.keizai.biz/headline/965/

 

またアリゾナ州のFlagstaffという街(緑豊かで経済的にも発展していて素晴らしい街)では

商工会議所がRemoを積極的に導入しており、コロナ以前に行っていた定期集会などをRemoを用いて実施しています。

https://business.flagstaffchamber.com/events/details/virtual-good-morning-flagstaff-via-remo-24600

Remoの大きな特徴である双方間コミュニケーションやオンライン上でもリアルと変わらないやりとりができる点は、

このような人と人が実際に繋がっていた場所の再現において、これまでのオンラインイベントプラットフォームと比べても格段にユーザビリティが優れていると言えます。

・見えてくる今後の課題

一方で、先述のオンラインゲームサーバーのように負荷がかかりすぎた場合は、ダウンしてしまったり、動作が遅くなるケースも散見されますので、

現状、大規模イベントの実施に耐えうるサーバースペックではないという側面もあります。

先日、Remoを使用して遠隔会議を行ったアメリカ人の知人曰く、「1時間半、300人ほどのビジネス商談会だったが、

途中フリーズする場面が数回あった。」とのことでした。

オンラインプラットフォームやツールは今後も様々な形で、企業の活動やイベントで試験的に活用され、そこからの学びを得ながらブラッシュアップされていくのだと思います。

日本においても積極的にオンラインプラットフォーム上の取り組みが行われ、新しい形のコミュニケーションや価値が生み出されていくことに期待したいです。

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