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マーケティング4.0のキーワード自己実現。コトラーとマズローの視点。

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1.マーケティング1.0から3.0の変遷

次のマーケティングコンセプトは、フィリップ・コトラー教授が定義するものです。

■マーケティングコンセプトの変遷
1.0:製品中心(Mind):製品管理
 製品の販売を目的とする
2.0:消費者志向(Heart):顧客管理
 消費者を満足させることに知恵をしぼる
3.0:価値主導(Spirit):ブランド管理
 より良い社会を実現するという崇高な目標を掲げて消費者の価値観に訴える

コトラー教授によれば、マクロ経済の変化やテクノロジーの進化により消費者の行動も変化することで、消費者の行動を前提にしているマーケティングの本質も進化していくと説明しています。

マーケティングは、世の中の流れに沿い社会の変遷そのものを反映、それを表しているということになります。

さらに3.0以前の流れを組みながら、この数年で提唱しているのが「マーケティング4.0」です。

2.マーケティング4.0のキーワード

マーケティング4.0のキーワードは「自己実現」です。

この言葉は、マズローの欲求段階説においてとても有名ですが、元は神経病理学を研究していたクルト・ゴールドシュタインによって用いられたと言われています。※1

その「自己実現」という概念がマーケティング4.0においても用いられており、コトラー教授は次のようにマーケティングの発展段階を説明しています。

コンセプトは「自己実現」となりますが、これはマズローの欲求5段階説をベースにしており、

1.0から4.0までを欲求5段階で用いるピラミッドと対応し下図のように表しています。

ある特定のグループに所属することだけに留まらず、自我や自立からさらに押し進め、自身の目的とすることを充足していくような段階に入っていくことを示していると言えるのではないでしょうか。

日本のように環境や社会的価値を考慮したモノやサービスが溢れ成熟した市場では、「顧客一人ひとりの可能性を引き出し、自分の願いを叶えてくれる」製品やサービスが求められる、としており、

その問題に対応し、解決していくのがマーケティング4.0の役割なのです。

3.マズローの自己実現欲求とは?

片やマズローは自己実現欲求をどのようなものと捉えていたのでしょうか。

マズロー理論の研究者である三島氏によれば、マズローが「自己実現(self-actualization)」という用語を初めて使用したのは、1943年の論文「動機づけ理論序説("Preface")」と言っています。※1

先に見た5段階の欲求の元になっていますが、第5番目の欲求として、

自己実現、自己達成(self-fulfillment)
自己表明(self-expression)
潜在能力の発揮(the fulfillment of its potentialities)
人が成り得るものを最大限追求する性向(the tendency to be the most that one is capable of being)

等が示されています。

さらに同年1943年の論文「人間動機づけの理論("A Theory")」において、「自己実現」を以下のように表現していることを取り上げています。※2

「たとえ、これら全ての欲求〔生理的、安全、愛、自尊の諸欲求〕が充足されたとしても、人は自分に適していること(what he is fitted for)を為していない限り、常にではないが、しばしば、新しい不満や不安が直ちに出てくるものと思われる。

作曲家、画家、詩人が真に幸福でありたいと欲するのであれば、それぞれ曲、絵、詩を作らなくてはならない。人は成り得るものに成らなくてはならない(What a man can be, he must be)のであり、この欲求を自己実現(self-actualization)と呼ぶことができる。〔中略〕

この用語は、自己成就の願望、すなわち自己の潜在的能力を実現させようとする性向(the desire for self-fulfillment, namely, to the tendency for him to become actualized in what he is potentially)を指す。
この性向は、人がもっと自分らしくなろうとする願望、人が成り得るものすべてになろうとする願望と言い表すことができよう。

これらを見ると、意味合いとしても、「人がもっと自分らしくなろう、人が成り得るものすべてになろうとする願望」としての色合いがより強かったのではないかと感じます。

4.自己実現と言う考え方は利己的なのか?

一言で「自己実現」と言っても、複数の要素を上げていたことが分かり、より多面的に伝えようとしていた概念の輪郭を見ることができます。

後にマズローは、「自己実現」が利己的(自己中心的)な概念として流布されてしまったことを悔やんだとの記述もあり、

本来はもっと「自他共存の概念」であること、「自己実現人は、通常の意味において利己的でも非利己的でもない。双方でもあるし、双方でもない」ということを示していたようです。

このように見ていくと、マーケティング4.0の目的は、もう少し直線的に「人がもっと自分らしくなろう」「成り得るものすべてになろう」とすることを支えることに向かってよいと感じます。

またそれと同時に、マズローが当時伝えようとしていたように、そこには利己的な思いを超えた「他者とのつながりやより良い社会」が必然的に含まれてくるのではないかと感じています。

※1・2・3:引用 マズロー理論研究序説ー「自己実現」概念とその経営学的意義ー 三島斉紀 編著

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