COLUMN
ディズニーランドで考える4P分析で本当に大切なこと
記事のワンポイント マーケティング動画
「4P分析」とは「何を・いくらで・どこで・どのようにして」販売するかを決定するために活用する分析方法です。
マーケティングを学ぶ上でとても重要な視点であり、知っておくべきキーワードだと言えます。
まずどのような分析方法なのかキホンを分かりやすく解説していきましょう。
1.4Pとは
・Product(製品):どのような品質や機能にニーズがあるか
・Price(価格):適正な販売価格になっているか
・Place(流通):ターゲットに届けるための流通経路や販売場所
・Promotion(販売促進):製品に合わせた宣伝方法
『4P』とはこれら4つの頭文字をとってまとめられている、マーケティング戦略のフレームワークとして活用されるものです。
「マーケティングミックス」と呼ばれることもあり、この分析方法によって製品やサービスが抱えている課題や強みを明確にして戦略に活用することができます。
ひとつずつそのポイントを解説していきましょう。
・Product(製品):どのような品質や機能にニーズがあるか
消費者が製品やサービスに求めている、品質や機能は何かということを明確にしていきます。その明確化によって、ニーズに沿った企画や開発を行うことができるようになります。
消費者目線のニーズに沿った製品やサービスの開発は、品質はもちろんのこと、デザインやパッケージ、色、アフターサービスなどあらゆる点において魅力を高めなければなりません。
また顧客目線から競合他社を分析することによって、自社の強みや課題を明確にすることもできます。
・Price(価格):適正な販売価格になっているか
市場で販売する価格においては「顧客が購入してくれる価格」「価値にあった価格」「利益を得られる価格」など、さまざまな視点で決定されなければなりません。
本来、製品やサービスには、『適正な価格』というものは存在しません。
そのためターゲットに対して適正な価格であるのかどうかは、価値に対する妥当性や競合他社と比較して魅力的かどうかなどの視点で分析が行わなければなりません。
また何よりも適正な利益が得られないければ流通させる意味がありません。
・Place(流通):ターゲットに届けるための流通経路や販売場所
販売を促進させるためには、ターゲット層に確実に届けられる販売場所や流通経路を確保しておかねばなりません。
販売場所や流通経路は多岐にわたり、コンビニやスーパー、百貨店などの実店舗もあれば、インターネット通販のようにWEBで完結できる方法も存在します。
どこでどのように販売するかについては、その製品やサービスの持つイメージによっても大きく変わります。
また逆に販売場所や流通経路によって、イメージ作りをすることもできますから、競合他社の販売戦略も意識しながら分析していかねばなりません。
・Promotion(販売促進):製品に合わせた宣伝方法
素晴らしい製品やサービスであるとしても、その存在を認知してもらわなければ購入してもらうことはできません。
どのように販売促進すれば多くのターゲットに届くのか、プロモーション方法を分析しなければなりません。
販売方法には広告やCMなどだけではなく、さまざまなメディアや方法があるでしょう。
競合他社はどのような販売促進を取っているか分析を行い、コストパフォーマンスの観点からも判断しなければなりません。
2.4P分析の目的
4P分析は冒頭からお伝えしている通り、「何を」「いくらで」「どこで」「どのようにして」販売するかを決定するために活用する分析方法です。
その分析によって、自社の製品やサービスの課題や強みを発見し、具体的な施策を考えることが4P分析の目的となります。
ニーズに沿った製品やサービスを開発し、ターゲットに対してどのように届け、どの価格で販売していくかといった視点がとても重要になります。
マーケティング1.0の時代においては、製品を作れば作るほど売れる時代でしたが、モノが溢れている現代においては本当に必要なモノでしか売れることはありません。
また現代においてはどのような購買行動を経て購入に至るのかといった、顧客に対する詳細な分析も必要となるのではないでしょうか。
4P分析はあくまでも自社の製品やサービスが、時代やニーズに合っているのか確認するために用いる分析方法です。
そのためこの結果をどのように受け止めていくのか、といった企業の姿勢が大事になるでしょう。
企業側からの視点だけに陥らないためには、4C分析(Customer Value、Cost、Convenience、Communication)で顧客目線での価値を補完をしておくことも大切です。
3.ディズニーランドで考える4P分析で本当に大切なこと
ディズニーランドを4Pの視点から簡単に見てみましょう。
今回は総合的にではなく、ディズニーランドの一つのキーワードになっている「非日常」という観点から見てみたいと思います。
Product(サービス):
ディズニーの世界観の中で得られるショーや物語に触れる体験
Price(価格):
都度、追加の支払いをせずにショーやアトラクションを楽しむことができる1チケット制
・Place(流通):
都心から少し離れ、同時に日常が目に入らないよう囲われた空間
・Promotion(販売促進):
クリスマスやハロウィーン、学生の思い出づくりなどの体験機会の発信
ディズニーランドを大きく深く見れば、もっと様々な視点で見ることができますが、一つの中核のキーワード「非日常」で見たとき
4Pの横の連動性・一貫性が取れていることが分かります。
例えば、この中の要素の一つ「Price」でアトラクションやショーの参加に都度、料金を支払うシステムであった場合、おそらくお金のことを意識する頻度が上がり、現実的な気持ちになることが増えるでしょう。
特にその場で交換価値が明確な「食事やグッズ」とは違い、知覚することが難しい「体験」という価値の場合はよりその色が強く出るのではないかと思います。
また「Place」が都心のど真ん中で、外の高いビルが目に入ったり、賑やかな音が漏れ聞こえてくるようなことがあれば、
ディズニーランドで感じる「非日常」は「日常」へと変わっていくでしょう。
4P分析を各項目単体で行ったり、競合との比較だけの視点で進めていくとどうしても「安さ、効率のよさ、お得さ」のような量で測りやすいものに結論が行きがちです。
むしろ本当に大切なことは、ディズニーランドの事例で見たように
中核の価値をどのように一貫性を持って顧客に届け感じ取ってもらえるかということ
なのだと思います。
改めて4P分析をするときにはこの点も心がけてみると、今までとも何か違う気づきがあるのではないかと思います。
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