COLUMN
2020年の米国内SNSマーケティングトレンドは?
ロサンゼルスに住む知人マーケターより、現在のアメリカのリテールやプロモーションの様子について聞きました。
実際にそこに住み生活している生活者×マーケターの目線でレポートいただいた内容で、現地の様子もとてもよく分かります。
今回はWithコロナでのリテールの対応やオンライン・SNSプロモーションのトレンドについてまとめています。
1.コロナウイルスのリテールへの影響は?
リアルを持っていたリテールビジネスに関しては、アメリカはコロナ渦以前から、リアルとオンラインの共存が日本より進んでいるという印象でしたがそれはその通りのようです。
やはり国土が広大、かつ大都市同士の時差もあるため、日本ほど頻繁に企業とクライアントが直接会って物事を進める機会は多くなく、
B2Bに関しては、オンライン一本化の動きにもあまり影響を受けていない印象を受けるという点は最初の理解と同様でした。
一方、小売りや飲食業界に関しては、入場制限、入口でのハンドサニタイザー(手ピカジェルのようなもの)の徹底、マスク配布などで乗り切っている状況のようです。
実際に、知人が住むエリア周辺の屋外モールでもマスク着用なしの客は入場できず
屋内モールに関しては、カーブサイドピックアップ(オンライン、電話で注文し、駐車場の指定場所で購入商品をピックアップする)というシステムを導入し、モール自体に入ることすらできない状況のようです。
飲食も店内営業は依然として禁じられているため、店舗前の駐車場などにテラス席を作り、6feet以上のソーシャルディスタンスを保った座席配置で営業を続けているということでした。
2.プロモーションについて何か変化はあるか?
アメリカでは現在COVID-19の影響でリアルイベントが軒並み中止となっている中、仮想空間(オンライン)でのイベント開催が定着化しつつあります。
これまでのオンラインイベントの問題点として、一方向(発信側→受信側)の情報伝達による、参加者の離脱率、コンバージョン成約率の低下が挙げられていました。
ただ、6月後半あたりからは、オンラインイベントにおいても双方間でのやりとりができる仕組みが確立されつつあるとのことでした。
「ATLASSIAN」はオーストラリア企業ですがアメリカでのオンラインイベントにおいて、
複数のボックス(基調講演、分科会、1対1製品説明会、イベントスポンサーのプライベートスペース)を用意し、イベント参加者が自由に各ボックスに出入りできるという仕組みを成功させた事例があります。
このオンラインイベントには30,000人の登録があり、リアルイベントよりも12,000人多い17,000人が参加しています。
これまでの展示会では見込み率の低い顧客(通りすがり顧客)もブースを訪問し、結果的に成約率が下がっていましたが、オンラインでは消費者側が自らの意思で各ボックスを訪れるため、結果的にCTRは向上したとの報告が上がっています。
従来型のライブイベントをそのままオンライン化するのではなく、最も効果的な部分のみをキュレーションし、オンラインで具現化する施策が、コロナ渦における各企業のマーケティングトレンドとなっているようです。
https://www.eventmarketer.com/article/inside-atlassian-touchpoint-rich-2020-remote-summit/
なお、上記施策においては、CA州サンノゼに本社を置くCisco Systemsも同様のオンラインイベント開催予定でしたが、開催日前日に人種差別反対運動が起こり、開催延期になったとのことでした。
世界的デジタル企業のCiscoが新たな動きを見せるかは、今後も注目です。
3.SNSマーケティングの事例
アメリカでは「SNSフォローで〇〇名様にプレゼント!!」のような販促活動はほぼゼロと言っていいほど行われていないようです。
日本ではコアターゲット以外にも広く認知させるために「無料で贈呈」SNSキャンペーンを多用しますが、
アメリカでは「コアターゲットを見つけるため」のSNS活用が主流であり、認知度向上のためだけに自社商品を無料(格安)で配布する施策は行われていないという実情があるようです。
その背景を聞くと、これは、アメリカの多様性ある社会(民族、人種、文化的側面)の構図上、企業側も事前にターゲティングをしっかりするという前提条件が存在するからというコメントでした。
知人も移住当初は日本式のSNS施策を提案・実施したことがあったようですが、その場での反応は一定数あったものの、やはりそこから後への広がりを見せることができず、
キャンペーンそのものが消費者から忘れ去られるのも早かったため、ブランド認知にもあまり役立たなかったという経験をしたとのことでした。
4.2020年の米国内SNSマーケティングトレンドは
そのような背景の中で、2020年の米国内におけるSNSマーケテイングトレンドは「よりダイレクト」なものに移行しています。
例えば、Facebook広告であれば、デザインされたバナーよりもシンプルで商品だけが写っている画像を多用する、
インスタグラムの投稿もひとつの商品のみを一つの写真に掲載して投稿するなどといった内容です。
※参照サイト:sproutsocial https://sproutsocial.com/insights/social-media-trends/
これらの商品広告画像に、直接商品ページURLリンクを貼り付け、消費者をダイレクトに商品ページに遷移させるようなイメージです。
ウェブマーケティングでは導線上の遷移数が上がれば上がるほど、コンバージョン率低下が懸念されますので、
アイキャッチ要素が強いバナービジュアルで、PV数の母数を稼ぐよりも、入り口からより純度の高いユーザーを誘導しCVRをできる限り高める対策が主流となっているのが特徴ということでした。
このSNSトレンドをまとめた記事が下記URLになりますのでご確認ください。
https://sproutsocial.com/insights/social-media-trends/
いかがでしたでしょうか。
またアメリカのトレンドも今後日本にも影響を与えることになるでしょう。
今後もしっかりウォッチし、上手に生かせるようにしていきたいと思います。